たつひとの合気道技法 基礎技: 一教

合気道の合気を使った究極版基礎技の解説

 合気道技法のウエブサイト,たつひとの合気道場で解説してきた合気道技法の解説内容が,かなり細分化した説明となりすぎて技の流れが見えにくくなってきたので,ここでは合気道の合気を使った合気技を,ひとつの流れの動作として説明していきます。ここでの説明は,究極的な合気道の合気を使った技の説明ですので,すぐにはできないかもしれませんが,これができると「小よく大を制す」を体現で,190cm,100kg超の大柄の人を捌き,投げ,制することが可能となります。
 合気道の合気」を使った技と合気道の技の違いは,見た目はほとんど同じです。ただし,技の効果は格段にアップします。まずは,合気道の技を習得することが必要で,その後のレベルアップした技のお話となります。
 各ページではひとつの技のについて合気を使った一連の動きを説明し,その後,攻撃の種類の変化等については,ポイントのみの記述で進めていきます。
技はまずは,基礎の技から始めます。基礎の技は,固め技の一教,投げ技の入身投げ四方投げです。

まずは,相手が正面打ちで攻撃してくるときの一教の技の説明です。一教の別名は,腕抑えです。腕抑え うでおさえ の動きが,技の中に取り込まれているかを技をしながら確認してください。

 なお,合気道での基礎技 きそわざ を fundamental techniques,基本技 きほんわざbasic techniques の英語を当てはめています。【たつひとの合気道英単語・用語】

正面打ち一教 しょうめんうち いっきょう

<表> 技の動きの説明

 正面打ちですので右相半身からのスタートです。

 (捌き) 右手刀で向かってくる正面打ちの攻撃を,前腕伸張力を使った一教運動の動作で受け,自分の右手手刀が相手の打ち腕に触れるや,右手刀による削ぎ出しで相手の打ち腕を攻撃の線から斜め横方向へはじきます。相手を自己の真中に維持しつつ,前足を相手の内,右斜め前に進めるとともに,左手手刀を相手の二の腕に当てます。
(返し) 左手伸張力で,相手の腕を瞬時に返した後,後足を前に進めます。
(落とし) 左手手刀を用い,相手の二の腕に合気下げと重力掛けで腕を床まで落とします。
(ピニング) 相手の腕を両肩線15度上に伸ばし,自己の背筋を伸ばし,左手手刀で相手の二の腕に前腕伸張力で回し重力掛けで極めます。このとき,右膝を相手の手首ないし前腕に当て,左膝で相手の脇腹を押し攻めます。
(離脱) 相手の右手掌を上に向けたまま,腕を引き伸ばし,上を向いている相手の手掌を手で固定し,その後,体を開いて,相手から体を遠ざけ離れます。

 ポイント

 (捌き・返し・落とし) 常に相手を自己の真中に置き,技を行います。
 (落とし) 相手の上腕を伸張力で押さえ,ただ座るだけの重力掛けによる落としとすることでもいいです。
 (ピニング) 相手の上を向いた指に,自己の指を載せることで動けなくすることも可能です。


<裏> 技の動きの説明

 正面打ちですから右相半身スタートです。

 (捌き) 向かってくる正面打ちの攻撃を,前腕伸張力を使った一教運動の動作で受け,右手手刀の相手の打ち腕に触れるや,右手刀による軽い削ぎ出しで相手の打ち腕の方向をずらします。同時に,相手の右側面に前足から送足で入り,その後,後足を歩み足で進め,相手を自己の真中に置きます。
(返し) 左手伸張力で相手の腕を返し,
(回し落とし) 相手の二の腕を自己の真中に維持し,伸張力で相手を下方に落としながら,左足を軸に背転し相手を下方へ落とします。
 以降は,表と同じです。

 ポイント

 (回し落とし) 背転時,体が先行しないように意識し,常に相手の上腕の自己の真中に維持します。腕は,伸張力で相手の腕を押し回す/重力掛けで動きを伝えます。自己の二の腕を使う相手の腕を引く操作はまったくありません

交差取り一教 こうさどり いっきょう

 基礎技の一教で正面打ちは,初めて合気道を学ぶ人には打ち方から勉強しないといけないので難度が高く,その場合は,交差取りで技の理解を進めます。

<表> 技の動きの説明

 交差取りですから右相半身スタートで,相手は右手で,右半身の取りの右手首を掴みにきます。

 (捌き) 相手が腕を掴む直前に,瞬間的に手刀部を上に向け,悟られず手刀を上に向けたまま掴ませます。
(返し) 手刀先行で相手の顔面に向け伸張力で返します。(落とし) 以降は正面打ちと同じです。

 ポイント

  (捌き) 相手は持つ瞬間の取りの手の向きを見ることができません。
(返し) 相手の顔面に向け,手刀を返していく操作は,持たれたときから真中を維持する仕掛けです。正面打ちに比べこの点が楽です。

<裏> 技の動きの説明

 (捌き・返し) 表と同様の操作で行います。手刀を相手の顔面に向けて操作することで,真中を維持しながら技を行えます。以降の操作は正面打ち一教の裏と同じです。

以上,合気道の合気を用いての基礎技一教の説明でした。


目次へ

高橋達人 tatsuaiki7@gmail.com