「合気道指導の手引き」 補遺・コメント
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「合気道指導の手引き」 第3版 (2019年) への「たつひとの合気道」補遺・コメント
中学校体育授業における「武道」実技の一つである「合気道」の指導資料「合気道指導の手引き」(第3版 2019年10月6日発行) の基礎・基本技法に対し,たつひとの合気道の視点から【技法動作】,Advanced Aikidoとしての【柔術動作】,Super Advanced Aikidoとしての【合気動作】を補遺,コメントとポイントを記しています。
柔術動作は十分な稽古により修得可能な動作です。合気動作は「誰にでもできて誰にでもできない動作」と塩田剛三先生のお言葉ですが,そのヒントのなるものを加えています。
「→」の部分が,それにあたります。その部分に【合気動作】【柔術動作】として内容区分をつけています。
目次
■基本動作
構えかまえ,受身うけみ,歩み足あゆみあし,送りおくり足,転回てんかい足,転換てんかん足
■基本となる技(対人的技能)
第1学年…逆半身片手取り角落し,相半身片手取り小手返し,呼吸法(座法)
第2学年…逆半身片手取り四方投げ(裏),正面打ち第一教(表),小手返しの発展
第3学年…逆半身片手取り四方投げ(表),正面打ち第一教(裏)
技能の要点
1 導入 ・・・・・・・・・・・・・・・・43
0.道着の着衣の方法
1.帯の締め方
2.道着のたたみ方
2 基本動作 ・・・・・・・・・・・・・・44
1.礼法 れいほう
ア.正座 せいざ
イ.座礼 ざれい
ウ.道場への入退場 ・・・・・・・・45
エ.正面への礼指導者との礼
オ.お互いの礼
2.構え ・・・・・・・・・・・・・・46
ア.半身はんみの構え
イ.相対の構え
ウ.間合い まあい
エ.残心→残身 ざんしん
3.体さばき ・・・・・・・・・・・・・48
(1)足の動かし方
ア.送り足 おくりあし
イ.歩み足 あゆみあし
ウ.転回足 てんかいそく
エ.転換足 てんかんそく
(2)組み合わせ
ア.送り足と転換足(単独動作)
イ.歩み足と転換足(単独動作)
ウ.送り足と転換足(相対動作)
エ.歩み足と転換足(相対動作)
4.後ろ受身 ・・・・・・・・・・・・・52
(1)後ろ受身①
(2)後ろ受身②
5.跪座きざと膝行しっこう ・・・・・・・・55
3 対人的技能 ・・・・・・・・・・・・・56
1.逆半身片手取り角落し すみおとし
角落し受身練習法
2.座り技呼吸法 ・・・・・・・・・・・58
座り技呼吸法受身練習法
3.相半身片手取り小手返し こてがえし ・・・・・・60
小手返しのつかみ方
手返し受身練習法体
さばきについて
4.逆半身片手取り四方投げ(裏)
腕の折り曲げ方 ・・・・・・・・・・64
四方投げの握り
四方投げ(裏)
受身練習法
5.正面打ち第一教(表) ・・・・・・・68
第一教(表)受身練習法①②
6.逆半身片手取り四方投げ(表)・・・・72
四方投げ(表)受身練習法
7.正面打ち第一教(裏) ・・・76
第一教(裏)受身練習法①②
第一教(裏)練習法
発展・・・・・・・・・・・・・・・・・80
小手返しの発展 ・・・・・・・・・・・・80
【確認】相半身片手取り正面打ち小手返し
【発展】逆半身片手取り小手返し
【発展】手ほどき
【発展】突き
【発展】突き方(相対動作)
第一教の発展 ・・・・・・・・・・・・82
【確認】正面打ち一教(表・裏)
【発展】相半身片手取り一教(表・裏)
【発展】手のつかまれ方・手の上げ方
【発展】逆半身片手取り一教(表・裏)
【発展】手のつかみ方と上げ方
【発展】座り技正面打ち一教
【発展】膝行を使って座り技を行う(表・裏)
四方投げの発展 ・・・・・・・・・・・86
【確認】逆半身片手取り四方投げ(裏)
【発展】両手取り四方投げ(裏)
【発展】相半身片手取り四方投げ(裏)
【確認】逆半身片手取り四方投げ(表)
【発展】両手取り四方投げ(表)
【発展】相半身片手取り四方投げ(表)
相半身片手取り入身投げ いりみなげ・・・・・・・89
実技
導入 | |
道着の着衣の仕方 | 道着の着用 道着の上着は,右前に着る。 ・右前とは,右手が道着の脇に入る着方。 ・自分の着衣を手伝ってくれる 人から見て,右の襟を前に持ってくる。 →着物の基礎知識を習得する。 |
帯の締め方 一本縛り いっぽんしばり | 帯の締め方 1)一度締めた帯が授業中にゆるむことのないようにきつく締める。 2)服装を整えたら,姿勢を整える。 姿勢を整えたら,気持ちを整え授業に臨む。 →白帯の段階で,きちっと習得させる。 ①帯の中心をおなかの中心にあてる。 ② →後で交差させると受身の時に,背骨を傷める。 一本縛りしばりの縛り方を指導する。 →左から回した帯を右から回した帯の下にくぐらせて左へ回す。 ③帯を前に回す。 →帯がクロスせずに帯の上に帯が重なった状態になる。 ④おなかの前で再び帯を交差させる。 →おなかの前で帯を左の帯を上に交差させる。 ⑤⑥重なりが上になった帯を下から上に通す。 →左からの帯を,帯の下から上に通す。 ⑦上に出した端を上に重ねながらおなかの前で交差させる。 ⑧重なりが上になった帯を下から上に通す。 左右の帯が横になるのを確認する。 ⑨両端を引いて結ぶ。 →両方の帯が長いときは,帯の上から下に巻く。 他の「一本縛りの方法」 ❶帯左端を腰の左にあてる。 →名前は,最終的にきちっと読めるように 裏表をきめあてる。 ❷右の帯を右から背面に回す。 ❸帯を前に回す。帯は重なったらはずれないのでさらに回す。 ❹おなかの前で再び帯を交差させる。 左右の長さを同じにそろえる。 ❺重なりが上になった左の帯を帯の重なりの下から上に通す。 ❻上に出した端を上に重ねながらおなかの前で交差させる。 ❼重なりが上になった帯を下から上に通す。 左右の帯が横になるのを確認する。 ❽両端を引いて結ぶ。 ➒両方の帯が長いときは,帯の上から下に巻く。 |
道着のたたみ方 | 道着のたたみ方 ・上衣上衣を広げて,左右の袖を折りたたみ,裾の方から半分に折り曲げる。 ・道着の下は,裏にして広げ,名前が見えるように半分に折る。 さらに真ん中を持ちあげ,半分に折り,ひもは中に入れる。 |
2 | 基本動作 技法稽古の前に習得しておくべき知識および基本動作。 基本動作を丁寧に繰り返し,授業の雰囲気作りや技の動きにつなげる。 |
正座 せいざ p44 | 1.礼法 (正座) 1)姿勢や座り方,礼の正しい方法を学び, 隙のない振る舞いを身につける。 2)所作に心を込める。練習相手や周囲の人, 場に対する感謝の気持ちを表現。 ア.正座 合気道では座礼を大切にするため, 座ったときは正座を基本姿勢とする。 正座は,心を落ち着かせ心構えを固める重要な行為。 姿勢を正すことで相手への尊重を表す。 ワンポイント 生徒は5分程で足が痺れ,集中力にムラが出る。 道場では正座が基本だと認識。 1単元時間に数回正座の機会を作り,長い説明時には「体操座り」に。 →胡坐座 あくらざ [方法] ○肩の力を抜き,首の後ろを真っ直ぐ伸ばす。 ○両脇,両肘は自然に締め,手の平は太ももの上に置く。 →両腕を鉄の輪 わっか 状にして,両手を手刀状にし太ももの上に置く。 ○両膝をこぶし1つ分空けて身体を安定させる。膝を開きすぎると立ち上がりにくくなる。 →男性はこぶし2つ,女性はこぶし1つ。 [改善ポイント] ・尻をかかとに乗せる。 ・肘を楽にし,膝に寄り掛からない。 ・視線を上げ前を見る。 ・頭頂部を引っ張り上げるように背筋を伸ばす。 <まとめ> ・背筋を伸ばすこと。 ・踵の上にお尻を乗せること。 ・両手は大腿部の上に軽く置く。 →両腕を鉄の輪 わっか 状にして,両手を手刀状にし太ももの上に置く。 |
礼法/座礼 れいほう/ざれい p44 | 礼法(座礼) イ.座礼 正座の姿勢から行う礼。道場への入退場,正面やお互いに対して行う基本となる礼法。 指と人差し指でハの字を作る ①正座の姿勢をとる。 ②両手をハの字にして一緒に畳に置く。 ③背中が畳と平行になるように頭を下げる。 →目は開けたまま,周囲の畳の影の動きを観察する。 ④一呼吸おいて正座に戻る。 →正座に戻った後,下位者は,上位者の目をみる。上位者の目の合図で礼を終える。 [改善ポイント] ・肘を膝に近づける。 ・手に体重を乗せすぎない。 ・背中と畳を平行にする意識を持つ。 ・手を膝から少し離す。 ・肩の力を抜く。 ・背中と畳の水平を意識する。 ウ.道場への入退場 今から授業を行ったり,今授業を行った「場」に対して感謝をする。 [指導上の留意点] ○体育館に畳やマットを敷いて授業を行う際は, 正面の方向(ステージがある場所,入り口と反対の方向等)を決め, 畳やマットに入るとき,出る時に決めた正面方向へ礼を行うと良い。 ①道場正面へ向かって正座をする。 ②正面へ礼をする。 エ.正面への礼指導者との礼 武道は「礼に始まり礼に終わる」とあるように, 合気道でも,授業(稽古)の始まりと終わりに,正面に指導者と生徒がそろって礼をする。 入退場の礼法は各自の行為,全体での正面への礼は指導者と生徒が気持ちを一つにして行う。 ワンポイント 全体で揃えるために,指導者または生徒の代表が掛け声をかけるとよい。 「姿勢を正して,正面に礼」 正面への礼 号令 「姿勢を正して」「正面に礼」 指導者との礼 「お互いに礼」「お願いします」 「お互いに礼」「ありがとうございました」 授業(稽古)開始時: ①全体での正面に礼の後,指導者は下座側に向き直し,生徒と互いに座礼をする。 ②気持ちを合わせて頭を下げたとき全員で「お願いします」と声を出す。 授業(稽古)終了時: ①全体での正面に礼の後,指導者は下座側に向き直し,生徒と互いに座礼をする。 ②気持ちを合わせて頭を下げながら全員で「ありがとうございました」と声を出す。 オ.お互いの礼 学び,高め合う相手に座礼をしてお互いに気持ちを表す。 始めに「お願いします」, 終わりや相手が変わる時に「ありがとうございました」と 発声しながら礼をする。 <まとめ> ・畳についた手は三角形にする。 →三角形の中に鼻がはいる位置に手をつく。 鼻を守る仕掛け。 ・背中が丸くならないようにする。 →背筋をまっすぐに。 ・お尻が浮かないようにする。 |
構え かまえ p46 | 2.構え 1)構えの基本姿勢となる「半身 はんみ の構え」を身につける。 2)手足の指先や目線にも意識を向け,気持ちの構え(気構え)を整える。 ア.半身はんみの構え 合気道の構えの特色は「半身」であり, 対人的技法,体捌き,受身等の全てに関わる。 右足を踏み出した形が右半身,左足を踏み出した形が左半身になる。 顔(目線)は正面を向く両手は腿ももの前に自然に位置し,手刀をつくる 手刀:てがたな ○5本の指は握ったり曲げたりせず,開いた状態にする。 ○指先から力が出ているイメージを持てると良い。 ・膝は軽く曲げる ・重心は両足に乗せる ・前足の指先は前に向ける ・へそは前に向ける ・後ろ足の指先は前足に対してほぼ直角 ・両足は肩幅程度にひらく 半身の構え方 ①直立の姿勢になる。 ②片足を1歩下げる。または1歩出す。 ③後ろ足を横に向け,半身の構えを整える。 ワンポイント 足捌きや相対動作の練習を重ねていくと,半身のつま先の向きが崩れがちになるので, そのたびに指導する。 [指導上の留意点のまとめ] ○足の幅は肩幅程度にする。 ○前足の指先は前に向け,後ろ足は前足に対してほぼ直角にする。 ○重心は両足に乗せ,膝を軽く曲げる。 ○両手は腿の前に自然に位置し,手刀を作る。 ○顔(目線)は正面に向け,真横にならないようにする。 〇へそは前に向ける。 イ.相対の構え お互いの半身の関係によって「相半身」と「逆半身」の2つの相対の構え。 「受け」の攻撃方法によって相対の構えは決まっている。 ワンポイント : 相対動作の役割技をかける側を「取り」,攻撃から技をかけられる側を「受け」とよぶ。 ≪稽古の流れ≫ ①受けが攻撃をしかける ②取りは攻撃を捌いて技をかける ③受けは技に応じて受身をとる 相半身:「取り」と「受け」が互いに同じ側の足の構えをする。 逆半身:「取り」と「受け」が互いに逆側の足の構えをする。 エ.間合い 自分と相手に対してとる距離と位置と方向の関係を間合いという。 技に入る前だけでなく,技の中での両者の距離も注意しなければならない。 オ.残心 →残身 「取り」の気持ち(心)の働きで,技をかけた後も相手が受身を取って構えなおすまで,常に相手に意識を向けて一定の間合いを保つこと。 技の終わりから次の構えの姿勢になるまで,相手に気持ち(心)を残すようにする。 ☆ どうして半身に構えるのか,「半身の構え」の利点 ☆ ・相手から攻撃される(見える)体の面積が小さくなる。 ・体や意識の向いている方向に力を集中させやすい。 ・体の向きをかえやすい。 <まとめ> ・右半身 ・左半身 ・足の幅は肩幅程度とする。 ・前足の爪先は内側に入らないようにする。 ・後ろ足の向きは前足に対してほぼ直角にする。 →前足の内側の縁は正面に向ける。 →前足の中指と踵の延長線上に後ろ足を直角にする。 ・両手は膝の前に自然に下ろし,軽く手刀をつくる。 →後ろになる手は,自分の腰の部分を守る。 |
3.体さばき 1)攻撃に応じる動きを体さばきという。 2)左右の体さばきを確認し,体さばきの組み合わせや相対での動作につなげる。 3)体さばきの組み合わせや相対での体さばきを覚え,技に生かせるようにする。 (1)足の動かし方 : すり足で動く(畳やマットから足を離さず,するように足を動かす) →体重を掛けない。したがって畳面からの抵抗がない。 ア.送り足 おくりあし 前足を踏み出した直後に,素早く後ろ足を引きつける足さばき。 [指導上の留意点] ○体の軸が前後にぶれないように,下半身を柔らかく使う。 ○すり足で交互に足を出し,足を踏み出す度に半身の構えを意識する。 →<継足 つぎあし> 後足を前足に寄せた後,前足を前に進める。 剣道では,相手に動きを読まれる。 ①半身に構える。 ②前足を1歩進める。 ③後ろ足を引きつけ,半身の構えに戻る。 イ.歩み足 あゆみあし 左右の足を交互に運び,半身を左右に切り替える足さばき。 半身の構えから後ろ足をまっすぐ前に出す。前足は外側に向け,半身の姿勢を整える。 →後足の指先から前足の横を前方へ足を送り出す。 後足となった前足の踵を直角に位置させる。 →後進の歩み足:後足をまっすぐに,剣道の足のようにそろえ,前足の踵から まっすぐ下げる。下げたら直角に位置させる。 ウ.転回足 てんかいそく 180度身体の向きを変える足さばき。 半身に構える。 両足の親指のつけ根に体重を乗せ,身体を180度回転させ,半身に構える。 →両足の拇指球を中心に体を,回転移動させる。自然体から右半身,右裏三角に。 右裏三角から右半身,自然体,左半身,左裏三角に。 エ.転換足 てんかいそく 前足を軸に,後足を後方に引きながら身体を回転させる足さばき。 半身に構え,前足を軸に180度回転しながら左足を下げ,再び半身に構える。動きが理解しにくい場合には,下のように分解して指導するとよい。 (2)組み合わせ ア.送り足と転換足(単独動作)用する技: 逆半身片手取り四方投げ(裏)(1年次) など ①左半身で構え,送り足をする。 ②左足を軸に転換足をする。 ③左半身に構える。 イ.歩み足と転換足(単独動作)使用する技: 相半身片手取り小手返し(1年次)第一教(裏)(3年次) など ①右半身で構える。 ②歩み足で左足を進める。 ③④前足(左足)を軸にして転換足をする。 ウ.送り足と転換足(相対動作) ①逆半身で構える。 ②送り足で相手の前足小指の近くに1歩進む。 ③進めた足を軸に転換足。相手の背中側に移動し,半身に構える。 エ.歩み足と転換足(相対動作) ①右相半身で構える。 ②歩み足で相手の前足小指の近くに進む。 ③進めた足を軸に転換足。相手の背中側に移動し,半身に構える。 ~入身と転換~ 道場での稽古では,歩み足や送り足を用いて相手の側面や懐に入る動きを「入身」といいます。 また,転換足を「転換」といい, ウ,エのような組み合わせの動作を「入身・転換の動作」と表します。 <捌きの稽古> ①相半身で向かい合う。 →相半身スタート。 ②攻撃側は新聞紙を振り上げ,送り足で振り下ろす。 →普通の稽古では,木刀を使用。 ③新聞紙の振り下ろしに合わせて「送り足」「歩み足」でよける。 【注意】新聞紙はまっすぐ振り下ろす。 | |
後ろ受身 うしろうけみ p27 | 4.後ろ受身 後方反転受身 1)受身は投げられたり,倒されたりしたときの衝撃から身を守るために身につける。 2)安全に受身ができるようになったら素早く体勢を戻す, 相手の力を感じながら受身を行う等の動きへと発展させると良い。 (1)後ろ受身 ①半身の構えから,後ろ足の膝を畳について受身を行う。 ア.段階1:両膝を抱えた状態から ①両膝を抱えて座り,へそを見るように背中を丸める 。 ②頭を打たないように背中を丸めたまま転がる。 ③ ①の姿勢に戻る。 ワンポイント 段階1では球体のイメージで背中と肩を丸める。 段階2では折り曲げた足の甲が畳につくようにつま先を伸ばす。 イ.段階2:片膝を抱えた状態から ①片膝をたたんで腰を下ろし,へそを見る。 ②背中を丸めて後ろに転がる。 ③足を戻す反動で起き上がり,①の状態に戻る。 ウ.段階3:片膝立ちの状態から(イから腰を上げる) ①右足の膝を立て,左足は甲を畳につける。②③へそを見るように背中を丸め,尻をつく。④頭を打たないように後ろに転がる。 ワンポイント : 膝をついた側の足の指先①と⑥膝をついた状態では,足の甲が畳につくようにし,つま先をたてない。 ⑤足を振り下ろす反動で起き上がる。⑥元の状態に戻る。 エ.段階4:立って半身の構えから ①半身に構える ②膝をつき,背中を丸める(号令1) ③尻をつく(号令2) ④後ろに転がる(号令3) ⑤⑥上体を起こし,尻を上げて膝立ちになる(号令4) ⑦立ちあがり半身に構える(号令5) ワンポイント : 膝をついた側の足の位置 ・畳についた足は尻の下に位置させる。 ・つま先が後ろを向かないようにする →つま先を伸ばす (2)後ろ受身② 半身の構えから,前足を後ろに下げながら膝を畳について受身を行う。 ①半身に構える ②前足を後ろに下げ,膝をつく(号令1) ③背中を丸め,後ろに転がる(号令2) ④足の振り下ろしで上体を起こす ⑤尻を上げて膝立ちになる(号令3) ⑥立ちあがり半身に構える(号令4) 畳をたたいて衝撃を和らげる 背中が畳についた時,手の平で畳をたたき身体への衝撃を和やらげる。 後ろ受身の単独練習では,慣れるために両手や左右どちらの手で畳をたたいても構わないが,技の中では相手につかまれていない方(空いている方)の手でたたく。 →畳に近い方の手で叩く。 ワンポイント ○腕は軽く伸ばし,肩の高さより手を上げない。 ○手の平全体でたたく。 ○投げられた強さに応じてたたく強さを調整する。 けがをさせないために ~ 後ろ受身 ~ ・足の甲をつく意識を強くする →甲を畳につける。 <まとめ> ・目線はお腹に向けて後頭部を打たないようにする。 ・折り曲げた膝はきちんと畳につけること。 ・膝のついた足は跪座にはならないようにする。 ・膝をついてから受身を取っているか確認する。 ・始めと終わりの姿勢は半身をとるようにする。 ・ →体がばらけないように,手を掴まれていない場合,床に近い方の手で叩く |
5,跪座きざと膝行しっこう 1)跪座とつま先を立てた正座の状態。膝行とは跪座を用いて移動する方法。 (1)跪座 正座から腰を浮かし,つま先を立て,かかとに尻を乗せ姿勢を整える。 腰を浮かせる際は,大きく前のめりにならないようにする。足は揃える。 ワンポイント 長時間の正座で足が痺れた際は,いきなり立ち上がらずに,跪座の姿勢になってから立ち上がると足首を捻るなどの危険を回避できる。 (2)膝行 ①跪座になる ②右足を進め左足を引き付ける ③右膝をつく ④左足を進め右足を引き付ける ⑤左膝をつく ⑥跪座に戻る ②③の分解 A右足を踏み出す B左足を引き付ける Cかかとに尻を乗せるD前膝をつく | |
3 | 対人的技能 学んできた基本動作を大切にしながら,技の動作を確認する。 技や受身の学習を通して,お互いを思いやる気持ちを高めていく。 |
1.p56-57 | 逆半身片手取り角落し |
p56 1.逆半身片手取り角落とし ぎゃくはんみかたてどり すみおとし | 1.逆半身片手取り角落し 1)斜め後ろに相手のバランスを崩す技。送り足と歩み足を使う。 2)バランスを崩す方向を学び,他の技にも活かせるようにする。 ①逆半身片手取りに構える。 ②取りは送り足で斜めに前進し,手の平を下に向けながら腕を伸ばす。 ③取りは肘をつかむ。 →手刀で受けの上腕を重力掛けで落とす。【合気動作】 →手刀で受けの上腕を合気下げで落とす。【合気動作】 ④取りは歩み足で1歩進み,相手のバランスを崩す。 ⑤受けは前足を下げながら膝をつく。 ⑥受けは取りの力を感じて後ろ受身を行う。 ワンポイント: 相手側の膝をつく 受けは相手に近い足の膝をついて受身をとるようにする。 角落しの場合は前足を1歩下げて膝をつく。 角落し受身練習法 膝をついた低い位置から受身を行うので,受身の後ろに転がる恐怖心を軽減できる。 ①取りは立った状態で手首を受けにつかませる。 受けはつかんでいる手と同じ側の膝をついて受身の準備をする。 ②取りは受けの肘をつかみ,歩み足で1歩進む。 ③受けは取りの力を感じて後ろ受身を行う。 [指導上の留意点] ○安全のため,はじめは受けの動作に合わせて取りが動くようにする。 ○動作に慣れてきたら,取りの力を感じて(反応して)受身を行えるようにする。 ○慣れてきても,勢いをつけすぎないように十分注意する。 ワンポイント: 手首のつかみ方 親指,小指,薬指で握り,人差し指,中指を添える。 手のひらに隙間を作らないようにする。 ワンポイント:畳を叩く 慣れてきたら,受けは相手につかまれていない方の手で畳を叩くようにするとよい。 →原則,体が畳に近い方の手で叩く。【柔術動作】 掴まれている場合は反対の手で畳を叩く。 →受けは,相手の手を離し,畳を叩く。【柔術動作】 |
2.p58-29 | 座り技呼吸法 |
p58 2.座り技呼吸法 | 2.座り技呼吸法 1)合気道特有の力の出し方を養う稽古法。 2)腕力で押し合わず,互いの力の出し方や流れを感じるようにする。 ①正座で互いに向かい合う。 互いの膝はこぶし1つ分程度あける。 →体の三角体を最大にするためこぶし3つ分程度あける。【柔術動作】 ②取りは手のひらを内側に向けて両手を出す。 →初級者は中段で持たせる。上級者は膝上からスタートする。 ③受けは外側から取りの両手首をつかむ。 お互いで作った腕の輪の内側に取りの手があるようにする。 ④取りは掴まれた手を伸ばしながら, 受けの手の内側で指先を上に上げ, 両手の平を相手に向ける。 →取りは,小指を相手の脇をターゲットに 伸張力を使って伸ばす。【合気動作】 ⑤取りは相手を倒す方向に膝を開く。 受けは相手の手首から手の平を離さないようにする。 ⑥⑦取りは車のハンドルを回すように両手を動かし,受けを横に転がす。 受けは相手の手首を持ち続ける。 ⑧取りは受けから離れないように膝を進め, 相手と向き合い姿勢を整え跪座になる。 →手刀で相手を制する。相手と手刀の間隔を5~10cm保つ。 起き上がってきたら,手刀で相手を押し制する。【柔術動作】 ワンポイント: 取りは姿勢を保つ 上の写真⑥と⑦での取りは,正座の状態を維持したまま 受けを転がすようにする。 取りの脇が開いたり受けと一緒に転がってしまったりせず, 身体の軸を保つ。 ワンポイント: 手をひらく 取りは手の平をしっかりと開いた状態で技を行う。 指先や手首の回転,力の方向が分かりやすくなる。 ☆ 抑えた状態で受けが起き上がりにくい手や身体の位置☆ (※注意※ 受けは取りの手首から手を離さないようにすること) ・自分の手は相手の肩口と手首に置く。 ・手の平を開き,手刀で力を出す。 →伸張力で重力パワーが使える状態にする。【合気動作】 ・相手の脇が90°以上開くようにする。 ・自分の膝が相手の脇の下と手首に位置する。 (相手の片方の手首を自分の膝と手刀で挟む) ・跪座になり背筋を伸ばし,お腹から力を出すイメージを持つ。 →丹田,重力パワーで抑える。【合気動作】 ・相手の腕だけではなく,身体全体を抑えるイメージを持つ。 →丹田,重力パワーで抑える。【合気動作】 |
3.p60-63 | 相半身片手取り小手返し |
p60 3.相半身片手取り小手返し | 3.相半身片手取り小手返し 1)相手の斜め後方に小手(手の甲)を返し,バランスを崩して投げる技。 2)授業では[小手返しのつかみ方→練習法→体捌き(90°,180°)→技] の順に行うと良い。 3)技の練習の前に,けがをさせない行為を確認し,危険な動きを しないように注意すること。 ①相半身片手取りで構える。 ②取りは相手の背中側に歩み足で1歩前進する。 ③取りはつかまれていない方の手で相手の小手をつかむ →真中の維持。【合気動作】 ④取りは前足を軸に後ろ足を動かし体を開きながら,つかまれている手をほどく(P66) →真中の維持。【合気動作】 ⑤取りは相手の小手を返し,小手を返した方向に前足を進める。 →真中の維持。【合気動作】 ⑥取りは空いている方の手を相手の手の上に添える。 →真中の維持。【合気動作】 →重力掛け。【合気動作】 ⑦取りは歩み足で踏み込み,受けのバランスを崩す。 →真中の維持。【合気動作】 ⑧受けは前足を下げながら膝をつく。 ⑨取りは受けが倒れたらつかんでいる手を離す。 受けはつかまれていない方の手で畳をたたく。 小手返しのつかみ方 ア,単独動作 ①左の手のひらを自分の方に向けて出す。 ②右親指で左小指のつけ根を押さえる。 右手4本の指は左親指のつけ根を握る。 →左親指で右小指と薬指の間のへこみを押さえる。【柔術動作】 →左親指で薬指のつけ根を押さえる。【柔術動作】 ③右手で左手首を内側にひねりながら,胸元から下ろす。 イ,相対動作 ①受けは左手のひらを自分の方に向けて手を出す。 ②取りは右手親指で受けの小指の付け根を押さえ, 残りの指で親指の付け根を握る。 →取りは右手親指で受けの小指と薬指の間のへこみを押さえる。【柔術動作】 →取りは右手親指で受けの薬指のつけ根を押さえる。【柔術動作】 ③取りは左手を受けの手の上にあてる。 この時,指先は相手の指先とそろえるようにする。 [指導上の留意点] ○親指の抑える位置や小指,薬指が離れないように注意させる。 ○あまり相手の手を捻らないようにする。 片手取りのつかみ方 =相半身と逆半身= 手のひらを取りの手首に密着させ,親指と小指でしめるようにつかむ。 |
4.p64-67 | 逆半身片手取り四方投げ(裏) |
p64 4.逆半身片手取り四方投げ (裏) | 4.逆半身片手取り四方投げ(裏) 1)相手の手首,肘,肩関節をきめ,相手の後方にバランスを崩し投げる技。 2)授業では[ 肘の曲げ方と四方投げの握り方確認 → 練習法 → 技 ]の順に行うと良い。 3)お互いに協力して技を作り上げる気持ちを持つと, けがや危険な動きを防げる。 ①逆半身片手取りに構える。 ②取りは反対側の手で,相手の手首関節をつかみ, 送り足で相手の前足近くに進む。 ③取りは転換足で相手の背中側に移動する。 →自己の背中と相手のとの間に空間を作らない。【柔術動作】 背の背が低いときは,膝を緩め相手の背に合わせる。【柔術動作】 ④取りは手を額の前まで上げる。 →反り返らない。【柔術動作】 ⑤取りはつかまれている手をほどきながら転回足を行う。 ⑥取りは受けの腕を折りたたみ, つかまれていた手をほどき相手の手の甲に添える。 ⑦取りは両手を伸ばしながら受けの指先を肩につけ,受けの肘を上げる。 →伸張力を用い重力パワーを相手の腕に伝える。 →相手が肘を落とし,体に着け抵抗した時は, 相手の手首を保持したまま ゆっくり正座する。【合気動作】 ⑧取りは両手を下におろし,受けは前足を下げながら膝をつく。 →受けは相手に近い足を下げながら膝をつく。 ⑨取りは送り足で踏み込みながら投げる。 受けが転がり始めたら手を離す。 [指導上の留意点] ○取りは相手の手を強く握りすぎないようにすること。 →強く握る必要はない。 ○受けが倒れたら,取りは掴んでいる手を離すこと。 タイミングとしては,受けが膝をついたら手を離すようにする。 →初級者に対しては,受けを取らすために手を離す。 四方投げの握り 手首関節に指がかかるように握り,関節が曲がる方向に曲げる。 ◎親指と人差し指が相手の手首関節にかかる。 ◎他の3本指が相手の手の甲を握る。 |
5.p68-71 | 正面打ち一教 (表) |
p68 5.正面打ち一教 (表) | 5.正面打ち一教 (表) 1)相手をうつ伏せにし,肘と手首をつかみ抑える基本の抑え技。 2)実際の稽古では受けが手刀で正面打ちを打ってくるのを取りがさばくが, ここでは段階的な指導として,互いに手刀を合わせた状態から始める。 3)練習法①②で体を前に倒す受身を覚えてから技を練習すると, 互いの動作の一体感が分かりやすい。 ①相半身に構え,手刀を合わせる。(ワンポイント①参照) ②取りは送り足で進み,相手の肘をつかむ。 →半掴みか,手刀で対応する。 ③取りは受けの腕を腹の高さまで下げ,手首をつかむ。 受けは身体の向きを変えながら,片手を畳につける。 ④取りは歩み足で1歩進む。 受けは手をずらし前腕や膝を畳につけていく。 ⑤取りは更に歩み足で1歩進み,膝と腰を少し落とす。 ⑥取りは相手側の膝をつく。 受けはうつ伏せになる。 ⑦取りは両膝をつき,跪座になる。 ⑧取りは相手の腕全体を畳につけるように抑える。(ワンポイント④⑤参照) →受けは,取りに近い方の脚は伸ばし,反対の脚は膝から曲げる。 (次の動作の準備)【柔術動作】 →受けは,取りに取られていない腕の肘を曲げ手掌を畳に着け, 極めが効いたとき,痛みを感じたときに,畳を叩き, 取りに知らせる。【柔術動作】 [指導上留意点] ・取りは受けの肘や肩に力や体重を乗せたり,腕の引っ張り上げないようにすること。 →受けが初級者の場合の注意点。 |
p69 正面打ち一教 (表) ワンポイント | ワンポイント ①手刀を合わせた状態 ・指先をしっかり伸ばす。 →前腕伸張力の発揮 ②バランスを崩す方向 ・受けの斜め後ろに崩す。 →相手の上腕を削ぎだしで前腕伸張力を使い斜め上方への押し上げる。【合気動作】 ③うつ伏せにする ・受けの肩を肘と手首より低い状態にするとうつ伏せになりやすい。 ・相手の肩が手首より高いと力が伝わらない。 →相手の上腕を重力落としで落としうつ伏せにする。【合気動作】 →合気下げで相手の上腕を落としうつ伏せにする。【合気動作】 ④抑え方 ・跪座になり,膝は受けの脇と手首につける。 ・受けの脇は90゜以上開く。 ・受けの手の平を上に向け,手首と肘をつかみ抑える。 →手首と肘を掴む場合は,半掴みで。 →または,両手刀で伸張力を使い,重力掛けで抑える。 →相手の腕を限界まで伸ばし,手掌の広げ伸ばる。【柔術動作】 ⑤手首と肘の掴み方 ・指先と手の平全体をつかい,隙間のないようにつかむ。 ・手の平や指先に隙間があると,つかんでいる部分に力が伝わらない。 →半掴みでつかむ,または両手刀で重力掛けで制する。 →相手の手掌に左膝を載せるか,手掌の中指の先端を指一本で抑える。【柔術動作】 |
p70 正面打ち一教 (表) 受身練習法 | 一教(表)受身練習法① 前に倒れながら手・肘をつき,うつ伏せになるまでを単独で練習する。 ①跪座になる。 ②両手を出し,前に倒れる準備をする。 ③前に倒れ,両手をつく。 ④両手を前にすべらせ,両肘をつく。 →または,両足を後ろに延ばす。取りの動きに合わせる。【柔術動作】 ⑤身体全体をつけ,うつ伏せになる。 |
p71 一教 抑えのポイント | p71 一教 抑えのポイント A.受けの腕の位置・角度 ・上の手の平が上を向く ・受けの腕が伸びている →受けの腕を限界まで伸ばしている。 ・受けの脇が90゜以上開いている。 →受けの脇の角度を直角90゜より10~20゜さらに開いている。 B.取りの座る場所 ・受けの腕の近くに膝がある。 →受けに近い膝は,脇腹に接触させ,押せる体制。 →受けの手首に近い膝は,相手の手首または腕が長いときは前腕に接触。 ともに受けが動けなくなる位置に膝を置く。 C.取りの姿勢 (p69 ④⑤参照) ・背筋が伸びている。 ・跪座になっている。 ・取りの腕が伸びている。 →伸張力を発揮し,手刀で相手の上腕手首を制する。 |
6.p72-75 | 逆半身片手取り四方投げ(表) |
6.逆半身片手取り四方投げ(表) | 6,逆半身片手取り四方投げ(表) 1)逆半身片手取り四方投げ(裏)を復習し,動作の相違点を確認する。 2)受けは「体の向きを変えてから後ろ受身を行う」という 新しい身体の使い方を意識すると良い。 3)動作に慣れてきたら,お互いの動きを感じながら滑らかに, より一体となった技を行えるようにする。 ①逆半身片手取りに構える。 ②取りは歩み足で1歩進み,自分の腹の前で受けの手首をつかむ。 ③取りはさらに歩み足で1歩前進する。 受けは転回足を行い,相手と同じほうを向く。 ④取りは手を額の前まで上げる。 ⑤取りは転回足を行い,相手の指先を相手の肩に近づける。 ⑥取りはつかまれていた手をほどき相手の手に添える。 ⑦取りは両手を伸ばし,受けの重心を後方に移動する。 ⑧取りは手を下におろし,受けは相手側の膝をつく。 ⑨取りは送り足で踏み込みながら投げる。 |
7.p76-79 | 正面打ち第一教(裏) |
7.正面打ち第一教(裏) | 7,正面打ち第一教(裏) 1)正面打ち第一教(表)を復習し,動作の相違点を確認する。 2)取りは「歩み足と転換足+転回足」という体さばきの 組み合わせを意識すると良い。 3)動作に慣れてきたら,お互いの動きを感じながら滑らかに, より一体となった技を行えるようにする。 ①相半身に構え,手刀を合わせる。 ②取りは歩み足で相手の前足の近くへ1歩進み,肘をつかむ。 ③取りは転換足を行う。 ④取りは腹の前に腕を下ろしながら,相手の手首をつかむ。 →真中で操作。【合気動作】 ⑤取りは転回足を行う。 受けは相手側の膝をつく。 ⑥受けは相手の動きに合わせながら手・肘をつく。 →取りがうまくめぐりで落としてくる場合は, 両足を宙に上げる。 ⑦取りは相手側の膝をつく。 ⑧取りは両膝をつき,跪座になる。 ⑨取りは相手の腕全体を畳につけるように抑える [指導上の留意点] ○受けは膝⇒手の順で畳につき,身体をうつぶせにする。 |
発展 | 発展学習 1つの受けの攻撃方法からの技をスムーズに行えるようになったら, 受けの攻撃方法を変えて技が行えるように発展させてみよう。 「発展学習」で紹介されている技の中から学習可能と考えられる技を選び, 受けの攻撃方法によって変わる,取りの初動の違いを理解し, その変化や違いの楽しさを感じてみよう。 (※学習3年目の単元) |
小手返しの発展 | 「逆半身片手取り」 「突き」 |
小手返しの発展 「逆半身片手取り」 | 【発展】逆半身片手取り小手返し 逆半身片手取り小手返しは,取りは相手につかまれている手をほどいて(手ほどき)技を行う。技の前に,手ほどきの練習をすると良い。 ①逆半身片手取りに構える。 ②取りは送り足で相手の側面に1歩踏み込む。 ③取りはつかまれている手を返しもう一方の手で手刀を使い, 相手がつかんでいる手をほどく。 ④取りは最初につかまれていた手で小手返しの握りでつかむ。 以降,相半身片手取り小手返し⑤(P80)~と同じ 【発展】手ほどき (上写真③) ①逆半身片手取りの状態。 ②手を返す(手の平を下に返す)。 ③手刀を入れる。 ④手をほどく。 |
小手返しの発展 「突き」 | 【発展】突き小手返し 突き小手返しは,取りは相手の突きをかわして技を行う。動きのある受けの攻撃方法に対し,小手を返す楽しさを体験できると良い。 以降,相半身片手取り小手返し⑤(P80)~と同じ ①相半身に構える。 ②受けは歩み足で踏み込み,踏み込んだ足と同じ方の手で突く。 ③取りは送り足で1歩相手の側面に踏み込み,突きをかわす。 ④取りは踏み込んだ足と同じ方の手で相手が突いてきた手をつかむ。 【発展】突き方(相対動作) ①相半身に構える。 ②受けは歩み足で1歩踏み込み,踏み込んだ足と同じ手で突く。 !!安全のため,突きは腹の前で止める!! |
第一教の発展 | 「相半身片手取り」 「逆半身片手取り」 「座り技正面打ち」 |
第一教の発展 p83 「相半身片手取り」一教 | 【発展】相半身片手取り第一教 相半身片手取り第一教は,取りは相手につかまれている手を 上げて相手のつかんでいる手の脇を開ける動作が加わる。 【表】 ①相半身片手取りに構える。 ②取りはつかまれた手を上げる。 ③取りは送り足で1歩踏み込み,相手の肘を下からつかむ。 以降,正面打ち第一教(表)と同じ 【裏】 ①相半身片手取りに構える。 ②取りはつかまれた手を上げる。 ③取りは歩み足で1歩踏み込み,相手の肘を下からつかむ。 以降,正面打ち第一教(裏)と同じ 【発展】手のつかまれ方 取りは手の平を下に向けてつかまれる。 手の上げ方 ①取りはつかまれた手の親指から回し上げる。 →前腕伸張力を生かし,小指から回し上げる。【合気動作】 ②取りは上まで上げた時,指先が上を向くようにする。 ワンポイント : つかまれ方が違うと… 相半身片手取り小手返しの様につかまれると… ①取りの身体がねじれてしまい力が入らない。 ②上まで上げても受けの脇が開かない。 |
第一教の発展 p84 「逆半身片手取り」一教 | 【発展】逆半身片手取り第一教 逆半身片手取り第一教は,取りは相手につかまれている手をもう一方の手でつかみ, 返しながら上げて相手のつかんでいる手の脇を開ける動作とそれに合わせて半身を切り替える動作が加わる。 表 ①逆半身片手取りに構える。 ②取りは前足を下げながら半身を切り替え, 相手の肘に上から自分の手を乗せ,相手を前傾させる。 →重力掛け【合気動作】 ③取りはつかまれていない方の手で相手の手の甲をつかむ。 ④取りはつかんだ手を返しながら上げ, もう一方の手で相手の肘を下からつかむ。 ⑤取りは切り下ろしながら前進する。 →合気下げで。【合気動作】 ⑥取りは跪座で抑える。 裏 【発展】手のつかみ方と上げ方 ①逆半身片手取りの状態。 ②取りは手を返しながら相手の手の甲をつかむ。 ③取りは更に手を返しながら相手の手をほどき,上げる。 ワンポイント : 逆半身片手取りのつかみ方の違い 四方投げのつかみ方 相手の手首関節を内側からつかむ。(P69参照) 第一教のつかみ方 相手の手の甲をつかむ。 |
第一教の発展 p85 「座り技正面打ち」第一教 すわりわざ しょうめんうち いっきょう | 【発展】座り技正面打ち第一教 立った状態で練習した正面打ち第一教を,座った状態で行う。 座ったままでも技ができる面白さ,動きの幅を感じたい。 ①正座で向かい合う。 ②お互いに跪座 きざ になる。 ③受けは正面打ちを打ち,取りは相手の肘をつかみ,手刀を合わせる。 →半掴み はんづかみ。【合気動作】 ④取りは相手の腕を切り下ろしながら手首をつかむ。 →半掴み。【合気動作】 ⑤取りは膝を相手の腕の方に向け,跪座で抑える。 【表】 ①②取りは膝行で1歩出ながら相手の腕を下ろす。 ③取りは膝行で前進する。 ④取りは跪座で抑える。 【裏】 ①取りは膝行で1歩相手の膝近くに自分の膝を進める。 ②取りは膝行で回転しながら相手の腕を下ろす。 →真中を維持。【合気動作】 ③取りは跪座で抑える。 |
四方投げの発展 | |
p86 「両手取り」四方投げ (裏) | 【発展】両手取り四方投げ(裏) 最初の状態が両手取りとなるが,全体的な動作は逆半身片手取り四方投げとほぼ同じとなる。 ①逆半身で両手取りに構える。 ②取りは前足と同じ方の相手の手をつかむ。 ③取りは転換足で相手と背中合わせになる。 受けはつかまれていない方の手を離す。 以降,【確認】逆半身片手取り四方投げ裏と同じ |
p87 「相半身片手取り」四方投げ (裏) | 【発展】相半身片手取り四方投げ(裏) 取りは親指を上にして手をつかませ,その手で相手の手首をつかみ返す。 ①相半身片手取りに構える。 ②取りはつかまれている手で相手の手首をつかみ返し, 歩み足と転換足で相手と背中合わせになる。 以降,【確認】逆半身片手取り四方投げ裏(P86)③~と同じ |
p88 「両手取り」四方投げ (表) | 【発展】両手取り四方投げ(表) 裏と同じように,逆半身片手取りとほぼ同じ動作となる。取りは両手をつかまれているので,最初につかむ手を間違えないようにしよう。 ①逆半身で両手取りに構える。 ②取りは前足と同じ方の相手の手をつかみ,歩み足で1歩前進する。 ③取りは歩み足で1歩前進する。受けはつかまれていない手を離す。 以降,【確認】逆半身片手取り四方投げ表と同じ |
p88 「相半身片手取り」四方投げ (表) | 【発展】相半身片手取り四方投げ(表) ①相半身片手取りに構える。 ②取りはつかまれている手で相手の手首をつかみ返す。 ③取りは歩み足で相手の腹側に前進する。 ②手のつかみ返し方はP.87ワンポイント中段参照 以降,【確認】逆半身片手取り四方投げ表(上写真)③~と同じ |
相半身片手取り入身投げ | |
相半身片手取り 入身投げ | 相半身片手取り入身投げ 相手の後ろに入り,大きく崩して投げる技。 しっかり崩すと怪我の危険性が高くなるが,怪我の危険性だけを気にしてしまうと関節へのアプローチがないだけに,技の効果や理合いが生徒に伝わりにくくなる。 DVD等の映像で実際の技の様子を理解し,技の危険性を把握させてから練習すると良い。 また,取りと受けの距離が近い技なので,異性の生徒への指導は示範が行いにくい場合がある。学習の1つとして選択できるかを十分判断してほしい。 ①相半身片手取りに構える。 ②取りは相手の背中側に歩み足で1歩前進し →矢筈 やはず で後ろ首を押さえる。★★★ ③受けは前足指先を外側に向ける。 ④取りは転換する。 →重力崩し。真中維持。 表崩し:20゜で崩す。 裏崩し:90゜ 回し崩し:吉祥丸道主の崩し巡り。【合気動作】 表裏崩し:その場崩し。【合気動作】 ⑤受けは後ろ足,前足と丸く動いて取りの動きに応じる ⑥取りは転回足をし,つかまれている手を相手の顎付近まで上げる。 受けは掴んでいる手を離す。 →伸張力で,天井めざして突き上げる。【合気動作】 ⑦⑧取りは歩み足で踏み込みながら上げた手を前に出し,投げる。 →上げた手を返し親指下で,指先から相手の肩越しに,畳に 向けて突き下げる。 →足さばき: その場投げ (表裏投げ):足を動かさずに投げる。 表投げ:肩越しに歩み足で踏み込み投げる。 裏投げ:裏に巡りながら投げる。 ⑧⑨受けは相手の踏み込みと下ろした手に合わせて,相手側の膝をつき受身をとる。 ワンポイント : 手の指先の向き 腕が描く弧の先端を指が通るように,指先を外側へ向ける。(上写真⑤~⑨) |
中学校体育実技指導資料 「合気道の手引き」 (公益財団法人 合気会) 参照
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